FDD エミュレータ
FDDエミュレーターについて解説します。
そもそもフロッピーディスクとは
フロッピーディスクドライブについて、皆さんはご存じでしょうか?
日本でパーソナルコンピュータ、つまり「パソコン」が始まったころ、1980年代から、皆さんの目に触れるようになった、当時唯一の持ち運び可能なメディア媒体でした。
ですから、(手軽さもあって)昔の8ビットパソコンや、シンセサイザーやサンプラー、プログラミング可能な工業機器の多くに採用されてきました。
しかし、時は流れ、2020年現在、メディアはより小さく、より大容量で、かつ磁気などの配慮が不要なSDメモリやUSBメモリなどにとってかわられ、メディアの生産もほとんどなくなり、むろんドライブの生産も終了し、各最新OSでのサポートもなくなりつつあります。
ディスク資産をさらに活かす
そこで問題になるのが、フロッピーの資産、つまり今まで使ってきたデータをどうするか、ということになります。
たとえば、工業機器、FDを使った工作機械などは、価格などの問題もあって(数万とか数十万とかの世界では当然ありませんので)おいそれとは更新できないのが現実です(しかもまだまだ問題なく動き、それを使っているところが中小零細企業であればなおさらですよね)。
新しいシステムに移行するにしても、機材面のコストだけでなく、誤差や”癖”などもあるので、移行するためのコストや手間はバカになりません。そのために施設をストップさせるわけにもいきません。
また、これがシンセになると、価格面では問題はないかもしれませんが、”そのシンセやサンプラーにしか出せない音”は当然あるわけです。
これが古いパソコンであれば、そのパソコン特有のゲームやユーティリティの活用、今流行?のプログラミング学習への応用にはうってつけですが、FDが問題では捨てざるを得ません。
それだけで捨てるってちょっともったいないですよね。
さらに、厳密にいうと、フロッピーディスクはある意味「消耗品」です。
ディスクの磁性面にヘッドがくっついて読み書きするわけで、それなりの耐久性はありこそすれ、寿命はあります。
メディアが生産されなくなってきた今、それも大きな問題になっているわけです。
そこで登場したのが、フロッピーディスクドライブをそっくりそのままエミュレーションする、という考え方で、それでできたのがFDD(フロッピーディスクドライブ)エミュレーターです。
ディスクドライブそのまんま置き換えであれば、機械全体を置き換えるよりもコストは安く済みます。そして、FDDに今まで保存してきたデータなどの資産、FDDを使用する(まだまだ使える)機器、懐かしい8ビットや16ビットの、FDDを使用するパソコンなどをさらに活かし、無駄を減らす、そして新たな楽しみを生み出すことが可能になります。
最初は、かなり手の込んだもので、値段もかなり高い(1台数万円~10万前後)ものでしたが(ここでは詳細の紹介はしませんが今でもあります)、最近は小さくて、安くて、高性能なワンチップマイクロコンピュータ(マイクロコントローラ)を使用した、、手軽で入手しやすい(2000円前後~)なものも出てきました。
そして、その安価なエミュレーターをさらに使いやすくしよう(そして多くの人たちに活用してもらおう)、という動きも出てきました。
ここでは、その「安価なエミュレーター」を「さらに使いやすくする」、その方法についてご紹介します。
ここで使用するFDDエミュレーター
FDDエミュレーターは、実は何種類かあります。
ここでは、主に中国製、「GoTek」(ここでは通称という形であえて「Gotek」と表記します)のエミュレーターの改造についてご紹介します。
ここのエミュレーターの「出荷時の」方式は、FAT方式でフォーマットされたUSBメモリに、番号のついたフォルダを作り、そこにファイルを保存していく方式です。つまり1フォルダーが1枚のフロッピーになります。
実際にあまり使ってないのでわかりませんが、最大100枚前後(うまくいけば1,000枚前後?)の”メディア”をUSBメモリ内に作ることが可能です。
利点としては、まずとにかく安いということ。
MCUにSTM32F105RBT6を使用、比較的シンプルな基板構成で、かなりコストダウンされています。ですから2000円前後の売価に収めることが可能なのでしょう。
次に、メディアのほうも、操作が手軽にでき、管理しやすいということ。
1枚のメディアは1つのフォルダなので、専用ソフトがなくてもパソコンでデータの管理が可能です。
欠点としては、まずFDDの種類によって機器が違うということ。
これは結構ややこしい話で、例えば、1.44メガバイトに対応している機器用と、720キロバイトに対応している機器用では、(内部のファームウェアが違うため)違う機器を購入する必要があります。
また、FDDから起動できる、できないでも別機器になります。
(基板上にEEPROMが別途搭載されている機器のみ起動が可能)
それができるGotekは少し割高になってしまいます。
次に、フォーマットの関係上、FDDの最大枚数分しか保存ができません。
たとえば、1.44メガバイトの場合、100枚分保存すると考えた場合、単純計算ですが、
1.44 x 100 = 144メガバイト(実際には多少前後)
となり、1Gバイトのメモリでも大きく「余剰」がでる計算になります。
裏を返せば、その「余剰」は活用できないことになります。
かりに1000枚であったとしても、2Gバイトのメモリで充分ということになります。
まぁそんなにガッツリメディアの枚数を消費するほどのデータは、そうそうないとは思いますが(笑)、最近安価なのは16Gバイトとか32Gバイトであり、2Gはあまりありません(というかむしろ割高)。
最後に、これが最大の欠点になると思いますが・・・
MS-DOS系で保存する以上、FDDのアクセスもそれに準じたドライブが基本です。
一応イメージモードと言って、MS-DOS系のアクセスでなくても対応は可能ですが、モードに入るのにひと手間必要です。
ここでは、それらの制限を(完全にとは言いませんが)解除可能な「改造」の紹介をしていきます。
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